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平野の家 / 奈良県香芝市

 

 日本の林業の衰退が叫ばれて久しいが、吉野杉や吉野桧で名高い奈良県下においても同様で、同県下で営む設計者として積極的にこの問題に取組む必要があると日々感じている。 
 取組みの一つとして、この家の構造材は地域認証材を採用し、助成制度を活用することで県にもご協力をいただいた。また床や天井の仕上げ材や造作材にも吉野杉や桧を使い、落ち着きのある優しげな雰囲気をつくり上げることができた。一方、外観は上部に高耐久性の鋼板貼り・下部は左官下地に吹付け仕上げとし、ボリュームの分散を図りシャープな印象をつくり出すことで、外部は精悍で内部とは対照的な意匠とした。
 計画当初は、若いご夫婦で将来お母様が入居される予定であったが、ご入居時には双子の赤ちゃんを授かられ、早速子供室が埋まってしまった事は予想外であったが、たいへん嬉しい想定外であった。ゆっくりと時が流れるこの空間で、無垢の素材に触れながら健やかに成長されることを強く願うのであった。

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